プロローグ

2010年11月11日(木)19:00よりApple Store, Ginzaにて、Mac OS X Server勉強会主催の第12回「Mac OS X Server Night!」が開催されました。

まず、司会進行から本日のアジェンダの概要説明と「Mac OS X Server勉強会」(略称MOXSSG= Mac OS X Server Study Group)の紹介がありました。 MOXSSGでは、みんなで楽しくMac OS X Serverの勉強をしています。レクチャー、ハンズオン、プレゼンテーション、ディスカッションなどを通じて、Mac OS X Serverの知識、技術の習得、理解を深めることを目的に活動を行っています。

mixiのコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3340112

twitterの告知
http://twitter.com/moxssg/

定例勉強会の告知
http://coolnotify.com/moxssg/

定例勉強会 - 過去の開催履歴
http://www.moxssg.com/groups/studygroup/

Mac OS X Server勉強会
Web: http://www.moxssg.com/
Twitter: @moxssg、#moxssg

技術紹介: WindowsユーザのためのMac OS X Server
[ウチダエスコ株式会社 - 谷口崇典様]

Windowsユーザ向けに、Mac OS X Serverを使った手軽なサーバ環境の構築方法が提案されました。
提案のメインのターゲット層は、NASの導入を検討している従業員100名程度の中小企業。"WindowsユーザにMacのサーバ?"と一見奇異に思えますが、Mac OS X Serverを活用すれば、安価で手軽に基本的なサーバ環境が構築できるとのことです。
手軽にファイルサービスを行う場合にはNAS(Network Attached Storage)が選択されやすいところですが、NASと比較しても、Mac OS X Serverは手軽に導入でき、また利点もあります。

注)ここで想定するNASとは、量販店の店頭で販売されている1~2万円程度の廉価なモデルではなく、一般に企業で導入される程度の10~30万円程度の価格帯のものを想定しています。



そもそも、NASが選択されやすい理由

企業などでサーバの導入を考える場合、まず思いつくのがファイルサーバです。NASはファイルサービスに特化して基本的な機能を備えており、サーバ環境としては比較的かんたんに導入できます。

NASの基本的な特徴としては、下記のようなものが挙げられます。

  • 導入、設定の手間がかからない
  • CAL(Client Access License)が不要で手軽な費用で導入できる
  • バックアップが取りやすい
  • Active Directoryと連携できる

他のサーバプラットフォームよりもNASが選択されやすい理由としては、Windows系サーバのようなOSやCALなどのライセンス料等費用面の問題、UNIX&Linux系サーバのような設定・運用等の管理負担の問題が回避しやすいことが挙げられます。
大がかりなサービスを指向しない企業にとっては、NASは比較的使い勝手がよいといえます。



Mac OS X Serverの特徴

Mac OS X ServerはNASと同等の特徴を備えており、価格は同等もしくはそれ以下、機能の面では優位性があるといえます。
アイコンで視覚化されたわかりやすいインターフェイスで、設定項目が少なく、普段Macを使っていないユーザに対しても導入の敷居は低いといえます。



ファイルサービスの設定

Mac OS X Serverのファイルサービスでは、標準で次のプロトコルをフォローしています。

  • AFP : Mac向け
  • SMB/CIFS:Windows向け
  • NFS:UNIX・Linux向け
Windowsユーザのみの環境であっても、SMB/CIFSを簡単な設定でサービスを提供できるMac OS X Serverは導入しやすいといえます。また、Mac、UNIX・Linux系のユーザともファイル共有がしやすく、多様なクライアント環境に対応できます。



バックアップはタイムマシーンで

ファイルサーバを導入したら、次に考えることはファイルのバックアップ。Mac OS X Serverでは、OS標準の「タイムマシーン(Time Machine)」を使えば簡単に環境がつくれます。 設定は、バックアップ先のディスクをつないでバックアップ先のディスクを選択するだけ。これで、最低限のバックアップ環境が完成します。 このタイムマシーンは、容量の許す範囲で過去のバックアップ状態を保持しており、過去のデータを視覚的に遡って確認できます。ファイルをリストアするときには、目的のファイルを容易に探し出すことができます。NASにはない機能の1つといえるでしょう。



Wikiサービスを活用して文書管理

Mac OS X Serverの独自機能を活かしたソリューションとして、Wikiサービスを利用した文書管理が提案されました。 ファイルを蓄積していくと、文書のバージョンや更新などの文書管理が問題になってきます。 文書管理の履歴等を記録したファイルを共有ディレクトリに置いておくのもひとつのやり方ですが、これだと意外と内容を見てもらえずに終わってしまうようです。 この点、Wikiサービスを活用してWebページにすることで、情報共有がしやすくなります。

Mac OS X ServerのWikiサービスは、OSに関係なく、以下のブラウザ環境さえあれば利用できます。

  • Safari 3以降
  • Internet Explorer 7以降
  • Firefox 3以降
  • (Operaは不可)
Wikiサービスを使えば、視覚的に情報を共有できるうえに、変更履歴の管理や検索がかんたんにできます。 検索は、タグを付けるなど工夫すればより容易な環境がつくれます。 また、OS標準の「クイックルック」の機能により、Webページにリンクするファイルがプレビューできるので、ファイルを開いたりダウンロードするなどの手間がかかりません。 クイックルックの処理はサーバ側で行われるため、OSに関係なくファイルの内容が確認できて便利です。

これらは、NASには搭載されないおすすめの機能とのことで、谷口氏が業務で同様の提案をしていても意外と評判がいいそうです。



Mac OS X Serverのそのほかの利点

Mac OS X Serverは、消費電力も少なくて済むそうです。

スタンバイ時の数値で比較すると、

  • Mac OS X Server(Mac miniタイプ):11W
  • NAS:20W
  • Windows:85W
ということ。環境に優しいともいえそうです。
また、Mac OS X Serverはひととおりのサービスを備えているので、将来的なサービスの拡張にも対応できるのはNASにはない大きなメリットといえそうです。

”Windows環境にはWindowsサーバ、Mac環境にはMacのサーバ”といった区分けではなく、便利なものを使うという立場からの1つの提案として、Windows環境にMac OS X Serverという組み合わせは十分に考えられそうです。


ライトニング“テクニカル”トーク: 外部アカウント
[ウチダエスコ株式会社 - 石井佳織様]

外部アカウントとは、USBメモリやポータブルHDといったモバイル端末に作成するユーザアカウントのことです。これを利用すれば、ホームフォルダを持ち運びできるので、どこでも同様の環境でPCが操作できます。 導入事例は学校などに多いそうです。各自の使用する端末が固定されていない環境で、ホームをローカルに置くのが難しい状況などに有効なソリューションです。

外部アカウントは、Open Directoryが動作している環境であれば、簡単な設定で作成できます。 設定は、ワークグループマネージャのモバイル環境設定から行います。ポイントはホームフォルダの作成場所で、保存先を「任意の外部ボリューム」として、USBメモリやポータブルHDを指定すれば作成できるとのことです。 使用するモバイル端末は、高速の読み書きに対応したものを選択するのがよさそうです。

たとえば、CS4のPremiereを起動するのに10分かかってしまうことがあったそうですが、このケースにはUSBメモリやポータブルHDを高速の書き込みに対応しているものに替えることで対応できたとのことです。 モバイル端末のチップの書き込み速度によって処理速度に極端に違いが出るようです。 なお、ホームの作成時にはFileVaultを有効にできるそうです。セキュリティを気にする場合には有効な設定といえます。

ライトニング“テクニカル”トーク: MCXRedirecterで快適なネットワーク環境を
[MOXSSG - 田畑英和氏]

先月のNetBootの導入事例の際に紹介された、ネットワークホーム環境下で標準設定では起動しないアプリケーションを起動させるためのソリューションが紹介されました。 ネットワークホームの環境でアプリケーションが起動しない理由のひとつは、ローカル端末のホームの情報を読み込んで起動するアプリケーションでは、ネットワークマウントしたホームの情報を読み込まないためとのことです。 このしくみを、擬似的にローカルの情報を参照するしくみに変更することで、標準では起動しないアプリケーションをネットワークホームの環境で起動させることができます。

設定は、ワークグループマネージャで行います。ワークグループマネージャには、アプリケーションの環境設定をサーバ上で一元管理する機能があり、この機能を活用します。具体的な手順は次のとおりです。

  1. /System/Library/Coreservices/ManagedClientをワークグループマネージャで開く
  2. フォルダのログインリダイレクト(ログイン時に実行するリダイレクトのアクション)を設定する
  3. (設定項目 アクション)”Delete And Create SymbolicLink”に指定
  4. (設定項目 フォルダのパス)オリジナルのフォルダのパスを指定
  5. (設定項目 リンク先のフォルダのパス)リダイレクト先のフォルダのパスを指定
こういう手順で、ネットワーク上に置かれているファイルをローカルにリダイレクトします。

たとえば、Adobe Reader(ver.9)の場合、

  • (設定項目 フォルダのパス)/Users/(アカウント名)/Library/Application Support/Adobe/Acrobat/9.0_x86
  • (設定項目 リンク先のフォルダのパス)ローカルの/tmp(もしくはローカルの任意のディレクトリ)
とリダイレクトすることで、ネットワークホームの環境で起動させられます。 ただし、すべてのアプリケーションがこうした方法で起動できるかは、まだ未定とのことです。 今後は、MOXSSGにて、各アプリのネットワーク起動の可不可を検証する予定である旨が発表されました。

What's New
[MOXSSG - 田畑英和氏]

10.6.5のアップデート発表

2010年11月11日に、10.6.5のアップデートが発表されました。アップデートした方が数名いらっしゃいましたが、明確な不具合等の報告はありませんでした。

後日判明したことですが、Open Directoryに不都合があった為、10.6.5(サーバ用)のアップデータがビルドを上げて再リリースされました。

Xserveの販売が終了

Xserveが2011年1月31日を以て販売を終了することになりました。扱いは小さめですが、アップルのサイトで告知されています。 アップルでは、XServerの代替環境として、省スペース向けにはMac mini Server、パフォーマンス重視の方にはMac Proを推奨していますが、XServeに変わるハードウェアが発表されるかどうかはまだ未定です。 今後の動向が注目されます。

認定トレーニング: 認定試験紹介 [MOXSSG - 田畑英和氏]

2010年10月1日より、Mac OS X Server Essentials v10.6とMac OS X Support Essentials v10.6の試験が提供開始となりました。 10.5からのアップデート試験の実施は、まだ未定とのことです(2010年11月11日現在)。 認定試験向けに、アップルトレーニングの公式カリキュラムである日本語版のテキストが発売されています。 また、認定トレーニングコースも実施されています。 このトレーニングでは、高い技術力と幅広い経験を持った認定トレーナーが、認定テキストと実機を用いた体系的な授業が受講できます。

詳しい内容は受付サイトのこちら

https://training.exid.jp/

エピローグ

次回は、恒例のプレゼントにアップル認定試験の公式ガイドブックである『Mac OS X Server Essentials v10.6』と『Mac OS X Support Essentials v10.6』が各1冊ずつ提供されるとのことで、乞うご期待です。

次回の予告